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ITの工事進行基準を再考する [プロジェクト管理]

先日のManage It!を読み、再度工事進行基準の適用について再考してみました。

もともと会計制度が求める工事進行基準の適用は方法論的には可能だと考えていました。
しかし、そのためにはユーザー企業に早い段階で要件を確定していただき、作業量を正確に見積もる必要があります。
方法論としては可能なんです。しかし、これをユーザー企業に求めるということはその企業のアジリティを損ねる可能性があるのではないかと感じます。市場に対してIT企業の透明化を図ろうとすると、そのしわ寄せがユーザー企業にいきユーザー企業の株主にとっては好ましくない状況になる。何かおかしい気がします。
 Manage It!でも語られていましたが、そもそもITプロジェクトは建設業のようにウォーターフォールできっちりと設計できるものではありません。ウォーターフォールでやっても不確定性リスクは減少しないのです。もし不確定性リスクを減らそうとするならばユーザー企業のアジリティを犠牲にする必要があります(それでも不確定性リスクは残ります)。そもそもウォーターフォールでシステムを開発できる時代は終了しているのです。
 であれば、工事進行基準を今適用することになんのメリットがあるのか?IT企業のプロジェクトマネジメントが(一見)うまくいっていますよというアピールのために工事進行基準が存在するのであればかなり意味は薄弱になります。
 「ユーザー企業の利益を守るためには工事進行基準の適用は好ましくない」そういいきって適用をしない大手IT企業がいくつも登場すればみんな適用しなくなると思うんですけどね~。
 ITの不確定性リスクをちゃんと説明すれば工事進行基準適用がいかに意味のないことなのか、市場や監査法人も理解してくれるのではないかと思うのですけど・・・。

 工事進行基準適用まであと3ヶ月。大胆な方針転換をする企業は現われないものでしょうか・・・。

「Manage It! 現場開発者のための達人式プロジェクトマネジメント」
この本はすごい!! 
この本を読めばどうすればITシステムのプロジェクトマネジメントが成功したといわれるようになるかわかります。しかも理論的なものではなくとても実践的。PMもしくはサブリーダークラス、そしてそのマネージャ・スポンサーの方々にはぜひ読んでいただきたい。

 ただこの本をそのまま適用すると工事進行基準は適用できませんね。というよりITシステム開発のような不確定要素の多いものを工事進行基準を適用するということ自体無謀だという感があります。
 工事進行基準の運用はできるけれども、そもそも工事進行基準の基準となるスケジュールが確定できないのですから・・・。

 私個人としては工事進行基準の運用はできるとは考えていましたが、一番基礎となる見積り・計画が最大の懸念事項だなとは思っていました。その最大の懸念事項を解決するためにはどうすればよいかがこの本には書いてあります。といってもここで見積り・計画を確定させる方法が書かれているのではありません。あくまで不確定要素がある、という大前提を受け入れその上でどうマネジメントすればいいかが書いてあります。結局工事進行基準適用そのものに無理があるということになってしまいました。
 やっぱりこういった方法が現実的なんだよな~。でも政治的な問題で現実的な対応ができないのも事実で・・・。それをどう解決していくことが一番難しいかも。

 「Ship It!」も良い本でしたが、この本も最高評価の本です!!




IT業界のための『工事進行基準』完全ガイド 基礎と事例と18の特効薬

IT業界のための『工事進行基準』完全ガイド 基礎と事例と18の特効薬

  • 作者: 日経コンピュータ・日経ソリューションビジネス 合同取材班
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2008/10/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



ソフトウェア業における工事進行基準の実務

ソフトウェア業における工事進行基準の実務

  • 作者: 岩谷 誠治
  • 出版社/メーカー: 中央経済社
  • 発売日: 2008/06
  • メディア: 単行本



Manage It! 現場開発者のための達人式プロジェクトマネジメント

Manage It! 現場開発者のための達人式プロジェクトマネジメント

  • 作者: Johanna Rothman
  • 出版社/メーカー: オーム社
  • 発売日: 2008/10/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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