「コストダウンが会社をダメにする」

2000年以降企業ではずっとコストダウン、コストダウンと言われ続けています。
その結果企業は良くなったのでしょうか？どうもコストダウンしても結局変わらない、もしくは悪くなる企業が多いのではないでしょうか？

そんな企業への処方箋ともいえる本だと思います。
もし、以下の内容に思い当たるところがあれば一度この本を読んだほうがよいでしょう。
・企業経営の基本はコストダウン
・低利益受注の（無条件）禁止
・リストラによる人員削減
・取引先への理不尽な値引き要求
・低賃金国での生産
・重箱の隅をつついたようなコスト管理の徹底

コストダウンそのものを否定する本ではありません。
人間で例えてみましょう。ダイエットは必要です。でも体調が悪くなるようなダイエットは意味がありませんよね。おなじダイエットするならばムダな贅肉をおとし、必要な部分はしっかりある（例えば筋肉質な）からだづくりをしなければなりません。
これは企業でも同じです。無駄なコストは削減すべきです。でも利益の源泉までそぎ落としてしまったら・・・、いくらコスト削減しても利益の源泉までそぎ落としていては強くはなれません。

ではどうすべきか。それがこの本の副題にもなっているスループット向上です。これはゴールドラット博士が提唱したTOCの１つです。
この本を読んでなるほどと思ったのですが、実はTOCで有名な本「ザ・ゴール」は原著（1984年出版）が出てからかなりの時間日本語版は出ませんでした。その間世界ではTOCを活用して成長していった。ちょうど「打倒日本企業」といわれていた時期だったのでゴールドラット博士も日本には紹介したくなかった模様です。日本企業も低迷し始めた2000年を過ぎてやっと日本語版が出版されるようになった。それほどの内容なのです。日本語版が登場してからまだ10年もたっていませんが世界では世界では30年近くの実績があるものなのです。

　もちろんTOC・スループット会計はすべてを解決する万能なものではありません。しかし知らないでは済まされないのです。経済不況の時期だからこそあらためてこの内容をしっかり押さえなければならないと思います。

コストダウンが会社をダメにする―スループット向上で全体最適

• 作者: 本間 峰一
• 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
• 発売日: 2008/07
• メディア: 単行本

こちらはスループット会計の参考書、そしてTOCの書籍です。

将来にわたって企業が利益を出し続ける実践スループット会計

• 作者: 冨岡 万守
• 出版社/メーカー: 日本能率協会マネジメントセンター
• 発売日: 2003/05
• メディア: 単行本

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