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「フラット化する世界」 [雑感]

「フラット化する世界」。これはソフトウェア業界に身を置く私としては非常に身近に感じています。従来プログラムの開発は自前でやる、もしくは国内の協力会社に外注するものでしたが、韓国に始まり中国・ベトナムといった賃金の安い国への発注(IP)が現代の主流になってきました(韓国は賃金が高くなってきたので発注量は減っていますが)。
中国やベトナムも情報・工科系大学を充実させ、日本語や英語を勉強した学生がバンバンそれぞれの国のIT企業に入社して日本などの仕事を請けているそうです。
 日本では言葉の問題があったり、漢字・ひらがなの文字の難しさがあってなかなかひろがらないですが、英語をベースにしているアメリカではもっと多くの業務がインドやベトナム・中国・台湾で行われているそうです。

 有名な話ではアメリカのオンラインヘルプデスクのセンターは実はインドにあってそこから回答しているとか。あと会計事務などもインドにアウトソースしているそうです。アメリカとインドの場合だとちょうど時差の関係で、アメリカの夜の時間帯にインドが勤務時間であり、インドで作業が終わる頃アメリカが朝を迎えるといった形で事務作業をアウトソースするには非常に都合がよいそうです。

 また、デルコンピュータの出荷向上の1つがマレーシアにありますよね。そこには中国・台湾・日本などから部品が集まり、アメリカで受けた受注もマレーシアで組み立てることもあるそうです。

 こうした全世界規模のサプライチェーンが出来つつある今、自分は何ができるのか、何をすべきかを考える必要がある、というのがこの本で学んだことです。

 さらにこれだけサプライチェーンが世界規模になるとうかつに戦争もできないそうです。例えば中国と台湾が戦争を始めたらコンピュータの市場が大混乱になり、今後中国・台湾にはそういった仕事が来なくなる。このことから中国と台湾は小競り合いはしつつも国の利害を考えると本当の戦争はできない。一種の戦争抑止にも一役買っている状態です。
 ただし、フラット化する世界で数少ない取り残されている世界が一部の国を除くイスラム圏だそうで、ここには戦争のリスクが依然としてある、ということです。グローバル化=アメリカ化というイメージがあって抵抗があるのでしょうが、実際はグローバル化=ローカルのグローバル展開という要素が大きいのでぜひともイスラム圏にもフラット化の世界に入ってほしいと思います。

 コンピュータの話から政治・経済の話まで広い範囲をカバーした本です。
NHKスペシャルなど好きな方にはぜひお勧めの本です。

フラット化する世界(上)

フラット化する世界(上)

  • 作者: トーマス・フリードマン
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 2006/05/25
  • メディア: 単行本

フラット化する世界(下)

フラット化する世界(下)

  • 作者: トーマス・フリードマン
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 2006/05/25
  • メディア: 単行本


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